美容に、気分転換に…酸素でリフレッシュ

美容で手軽なリフレッシュ、元気回復に役立つとして、酸素が注目を浴びている。中でも人気の中心は、昨夏の甲子園優勝投手、斎藤佑樹投手が決勝再試合前に使用したことで有名になった酸素カプセル。

 もともと、サッカーの2002年W杯開幕前に、イングランド代表のデビッド・ベッカム選手が骨折治療に使用したことでスポーツ界では注目されていたが、いまや「斎藤くんのカプセル」として大人気。酸素バーや、酸素によるフェイシャルトリートメント、持ち歩く酸素など、花盛りだ。

 明かりを落とした店内に、人1人がすっぽり入れる大きさのカプセルが数台並んでいる。酸素カプセルのサロン「エアープレス」(東京都中央区銀座)は2002年5月に、日本で最初に酸素カプセルを置いた店だ。

 10分間ほど説明を受けたあと、カプセルの中の香りを選んで中へ。入口が閉じられ、シューッという音とともに内部の気圧が1・2~1・3気圧まで上がっていく。

 横になって40分。飛行機や高速エレベーターに乗ったときのように「耳抜き」が必要なのが多少やっかいだが、慣れてくると熟睡する人も多いという。

 「客層は中高年層がメーンで、今では利用者の7割はリピーター。『疲れにくくなった』『代謝がよくなって冷え性と便秘が改善した』という方が多い。疲れている人ほど変化が分かるようです」と代表の平野剛氏。

 酸素カプセルは、もともとは医療や軍事での病人搬送で生存率を高めるために開発されたもの。それが、欧米で純酸素ではなく空気を使い、気圧も1・3気圧までにとどめた簡易型が登場してから、スポーツ選手のリハビリや、一般のリラクゼーション、アンチエージングセラピー用として一気に普及した。

 人間の体を構成する細胞が生きていくためには、酸素は不可欠。ところが、大気汚染や森林伐採などの影響で、大気の酸素濃度は100年前に約24%だったものが、現在は約21%まで減少。密閉された室内や、通勤電車の中などではさらに酸素濃度が下がり、現代人は慢性的に酸素不足に陥っている。

 酸素カプセルの場合、内部の気圧を上げることで、血液中に溶け込むサイズの小さい酸素(溶解型酸素)の量を増やし、全身の血管の90%を占める毛細血管に行き渡らせることができるのが最大の売り。脳や腎臓、肝臓などに効率よく酸素を供給でき、疲労回復や美肌効果、集中力アップなどが期待できるという。

 一方、手軽に高濃度の酸素を吸えるので人気なのが、酸素バー。ドリンクバーのようにカウンターに座り、チューブを鼻に入れて、ユーカリやオレンジなど好きな香りのついた酸素をチューブを使って吸入する。

 銀座松坂屋地下2階にあるウイング・オキシーバー店長の阿久津久美子さんは、「意外に多いのがサラリーマンの男性。休憩時間や仕事帰り、二日酔いのときも、酸素を吸うとアルコール分解がよくなるので、利用されます」。

 同店では最近、酸素を使ったフェイシャルトリートメントも開始。美肌効果を促すと、女性客に好評だ。

★ホテルでも酸素バー

 東京都港区のホテルオークラ東京でも、昨年3月の改修で、リラクゼーションネイチャーコートという癒しサロンに酸素バーを設置した。宿泊者が対象だが、オークラホテルズ&リゾーツの会員制度「オークラクラブ」(入会金、年会費無料)に加入すれば、酸素を吸えるリフレッシュメントバーを利用できる。「正月イベントで酸素コーナーを設けたところ、非常に反応がよかったのが理由です。サロンにはスパやエステなどの設備がありますが、酸素は心を癒すメディテーションルームと、時差解消のジェットラグリリースというコーナーでも利用しています」と同ホテル。

酸素カプセル&バーのある主なお店

★家でのんびり酸素

 家にいても酸素を補いたい、という人のためには家庭用の酸素エアチャージャーがナショナルから発売されている。一般の空気中より9%も高い約30%の酸素濃度の空気を供給。約3年前に発売を開始し、安定的に売れているという。大きさは幅14センチ×奥行き24センチ×高さ32センチ、重さ4キロ。ヘッドセットをつけ、細い管から出てくる酸素を鼻や口から吸う仕組みだ。実勢価格で約3万円前後。

 また、水にも酸素を強化したものが増加。“飲む深呼吸”のキャッチフレーズでアサヒ飲料から発売された「酸素水」は、通常の5倍の酸素が含まれているという。飲み物にも食べ物にも数滴落とすだけで酸素を摂れる「アクアオーツー」(ウイング、60ミリリットル入り、6090円)という商品もある。

サンケイスポーツ - 2007年2月24日